甘酒が臭いのは失敗?匂いの原因と改善方法とは
甘酒の豊富な栄養の秘訣は発酵食品であること。
発酵食品ならではの高い吸収率で、ブドウ糖だけでなく、ビタミンやアミノ酸まで効率良く摂取できます。
忙しくて食事への配慮が怠りやすい人にとっては、栄養バランスを整えるのにぴったりな飲み物です。
しかし、発酵食品は臭いが気になります。
匂いは、味の9割を占めるとさえ言われている重要な要素ですから、臭いと感じるような好みから外れたものでは美味しく飲めません。
また、甘酒は思いの外簡単に作れるので、手作りで飲み始める人もいるでしょう。
慣れない匂いで、失敗か成功か分からない、なんてことになっては困ります。
甘酒は臭い、と言うのは本当なのでしょうか?まとめてみました。
甘酒の匂いはどんなの?
甘酒は、米麹から作られたものと、酒粕から作られたものの大きく2種類に分けられます。
どちらも栄養満点であることには変わりないのですが、作り方も材料も違うので、仕上がりの匂いが全然違ってきます。
好みによって米麹は良くて酒粕はダメ、または米麹は受け付けなくても酒粕は好きと言うことも出てくるでしょう。
それぞれの匂いの違いについて確認していきます。
酒粕甘酒は日本酒臭い?
酒粕の甘酒は、酒粕とお粥を加熱して砂糖で味を整えるというシンプルな作り方。
慣れてくると10分もかからずにできるようになるので、手作り派も多いです。
実は、酒粕は仕込んだ日本酒を絞って、材料だったお米や麹を寄せ集めたもの。
要するに、日本酒の絞り粕のことなので、酒粕と呼ばれています。
もともと日本酒に浸されていた食品ですから、酒粕そのものもアルコールが含まれていますし、臭いも日本酒とよく似ていています。
また、酒蔵によっては日本酒に不純物が入ることを嫌って、酒粕を集めるときに敢えて弱めの力で絞ることも。
この場合は、酒粕に含まれる日本酒の量も多くなるので、アルコール量も多くなります。
物によっては、8%にもなるんだとか。
もちろん、日本酒が大量に含まれているわけですから、アルコールだけでなく、日本酒ならではの「酒臭さ」も強いです。
甘酒にした後も、日本酒ならではの匂いを完全に消すことは難しいため、飲めなかったりする子供たちは、「酒臭く」感じてしまいます。
大人でも日本酒が嫌いな人は同じように臭く感じますが、逆に好きな人はやみつきになる香りです。
米麹甘酒はカビ臭い?
麹の甘酒は、コウジカビと呼ばれる毒素を発生させない菌の一種がお米を発酵させることで作られます。
米麹ならではの何とも言えない匂いは、コウジカビによるもの。
そのものズバリカビ臭いと言われるだけでなく、足の裏の臭いや、栗のような甘い匂いなんて表現されることもあり、はっきりと好き嫌いが別れる香りです。
米麹の甘酒はここ最近、急激に注目されだしたものなので、手作りして初めて匂いをかいでびっくりするかもしれません。
他にも、極端に臭いが強いのは、麹が作られた環境に原因があることが考えられます。
と言うのも、麹は室蓋と呼ばれる入れ物の中で作られますが、長年の風合いを活かすために、敢えて洗わずに使用している商品があるからです。
創業云十年と言われる、こだわりの醸造所がこの傾向が強いです。
この臭いは、嫌気臭と呼ばれ健康的にどうとかいうものではありませんが、嫌いな人はとことん嫌ってしまいます。
スパイスで誤魔化したり、他の飲み物で薄めたりしても、どうやっても気づいてしまうんだとか。
嫌気臭は、特定の醸造所で作られる麹だけの臭いですから、麹本来の臭いではありません。
どうしても受け付けないなら、もったいないですが、相性が悪かったと思って捨てて、新しいのを使いましょう。
まずくて臭い
甘酒に限らず発酵食品は菌を繁殖させて作るので、他の食品に比べて臭いが独特です。
ですから、慣れないうちは出来上がった臭いにびっくりして「腐ったのでは?」と心配になることもあるほど。
臭いがあっても、しっかり甘味が出ていれば成功のサイン。
香りは麹のものなので、心配はいりません。
しかし、一舐めしてみて、甘味がなく不味い、と感じたら要注意、腐敗の可能性があります。
米麹の甘酒は、麹と、コウジカビのエサとなるお米を加えて、適切な温度で発酵させます。
つまり、コウジカビにとって活動しやすい環境を整えることで、甘酒は作られるのです。
ところが、コウジカビにとって心地よい環境ということは、その他の雑菌にとっても同様です。
ですから、甘酒を仕込んでいる容器の中は、常にコウジカビと雑菌のどちらが勝つか、勢力競争をしています。
コウジカビの勢力が負ければ、お米が雑菌に取られてしまいますから、発酵できず腐敗が進みます。
腐敗臭がして不味いということは、発酵に失敗したというわけですから、リメイクもできません。
もちろん、食べても健康に悪影響なので捨てましょう。
臭いを改善するには
菌の力で作られる発酵食品はどうしても臭いに好みが表れます。
「味は好きだけど臭いのせいで飲みにくい」なんて人もいるでしょう。
匂いを弱めることは、飲みやすさの向上にも繋がります。
酒粕甘酒の場合
酒粕甘酒の臭いの基は、酒粕に含まれる日本酒の臭い。
アルコールは78℃で気化しますから、沸騰させるのが一番です。
酒粕のアルコール臭が飛んで、飲みやすくなります。
つまり、甘酒の日持ちを良くするための火入れですね。
酒粕甘酒は火にかけて酒粕を溶かしながら作るので、最後にさっと沸騰させるだけで簡単にお酒臭さを取り除けます。
酒粕特有の臭いがなくなるので、美味しくなる、なんて人も。
ただし、熱に弱い酵母は40℃で死活されてしまうので、生きたまま摂取することはできなくなりますから、実際に火入れする場合はよく考えて行いましょう。
栄養を取るか、美味しさを取るか、悩ましいところです。
米麹甘酒の場合
米麹甘酒の場合も、火入れは有効です。
発酵が終わった甘酒をわざわざ火にかけるという一手間がかかりますが、日持ちも良くなるのでまとめて作る場合にも重宝します。
しかし、酒粕甘酒と同様に酵素などの熱に弱い栄養はそのまま摂取することができなくなるので、注意が必要です。
また、麹の匂いは、醸造所によって全く違います。
Aのところのは受け付けなくても、Bのところは美味しいというのは、麹あるある。
上で説明した嫌気臭に関係なく合わなければ、違う麹に変えると、出来上がった甘酒の匂いが変わってきます。
腐敗臭を防ぐためには
雑菌が繁殖して、腐敗に進んでしまった甘酒は捨てるしかありません。
しかし雑菌はあらゆるところに付着していますが、だからと言って、全ての食品があっと言う間に腐敗するわけではありません。
発酵という、菌が繁殖しやすい環境を整えることで、雑菌が爆発的に増えて腐敗の原因になるのです。
必然的に、発酵に不可欠な麹が活動する余地もなくなります。
ですから、発酵を成功させるためには、麹が負けないように仕込んだ甘酒の中の雑菌を極力減らさなければなりません。
米麹の甘酒は温度管理が大切とよく耳にしますが、それと同じくらい衛生管理も重要です。
炊きたてのお米を使う、甘酒を仕込む前に雑菌の侵入源となる調理器具はしっかり消毒するなど、衛生面への配慮してください。
>>甘酒が甘くならない!失敗を防ぐには?ひょっとしたら復活できるかも
まとめ
いかがでしたか?
甘酒は発酵食品ですから、臭いの問題は避けられません。
麹一つ取っても、仕上がってくる甘酒も変わってきます。
匂いはどうしても好き嫌いが分かれますから、市販品1つ試しただけで臭いが苦手、と判断するのはもったいないです。
匂いは全体的な味にも大きな影響を与えます。
色々な物を試しながら、自分にぴったりの甘酒探しを楽しみましょう。
以上、「甘酒が臭いのは失敗?匂いの原因と改善方法とは」でした。