甘酒にご飯を入れる理由は?もち米や玄米の効果とは
甘酒は酒粕と米麹のどちらから作るものでも、ご飯を加えるのが一般的。
しかし、市販の甘酒を見ると砂糖などの甘味を加えて味を整えている物も多く、ツブツブした食感以外、特にお米は必要ないような気もします。
飲み物として楽しむなら、のど越しが悪くなるツブツブは好みが別れます。
タピオカのような、食感を加えるだけなら好みに合わせて敢えて加えなくても良いはず。
ここでは、甘酒に入れるお米の役割について確認しましょう。
甘酒にご飯を入れる理由
甘酒は酒粕のものと、米麹のものでは、味も作り方も違います。
ですから、材料で加えるご飯の意味合いも甘酒によって変わってきます。
酒粕の甘酒に入れるご飯の役割
酒粕から作る甘酒は、シンプルに言うと、酒粕を適量のお湯で伸ばしただけの物。
飲みやすさや味にこだわらなければ、砂糖すら加える必要はありません。
それなのに、なぜご飯を入れる必要があるのかというと、単純に「かさ増し」の意味合いた強いです。
そもそも酒粕とは、日本酒を作るときに出る搾りかすのこと。
日本酒はお米と麹と水から造られていますから、もろみに水溶性の栄養が流れてはいるものの、酒粕がお米と麹の塊であることには変わりありません。
カードのような酒粕の塊をお湯に溶かして飲んだだけでもお米のツブツブは味わえます。
しかし、甘酒の酒粕は、一緒に加えるお湯と比べて極少量。
そのままでは、江戸時代からお馴染みの米麹の甘酒と比べると、固形物が少ないためどうしても満足感が不足します。
そこで、酒粕にも含まれているお米を別で加えるようになりました。
単純に満足感のためなので、シンプルに味を楽しむだけ、または酒粕由来の栄養を摂るためだけなら、ご飯を別で加える必要はありません。
甘酒ならではの食感や、飲み応えを求めたり、食事変わりにある程度カロリーを必要とする場合には加えた方がいいでしょう。
米麹の甘酒に入れるご飯の役割
もともと甘酒のルーツとなるのが、米麹を使った甘酒。
砂糖がまだまだ貴重だった時代は、甘味は果物が主流でした。
果糖以外から来る甘味は当時珍しく、かつ栄養満点であることから、夏の食が進まない時期は庶民にも重宝されていたんだとか。
古くから庶民に愛された米麹の甘酒のヒミツは、発酵です。
米麹の甘酒は、酒粕のものと違って砂糖を加えなくても甘く美味しく飲めますよね?
これは、発酵によってお米の甘さが引き出されているからなのです。
お米の成分のうち、75%を占めるデンプンは多糖類と呼ばれる、ブドウ糖が複雑に繋がっている構造をしており、甘味が隠されている状態です。
そのままでは甘味を感じませんが、米麹と一緒に発酵させることで麹菌がデンプンをブドウ糖へと分解します。
私たちが主食として食べるご飯も、よく噛んでいると仄かに甘味が出てきた、という経験はありませんか?
私たちの味覚は細かい分子により敏感に反応します。
ご飯をしっかり噛むことで、デンプンの分子が細かくなり、ブドウ糖として味覚に認識されたというわけです。
甘酒のを作るときの発酵では、人の口の中と同じことが麹菌によって行われています。
お米のデンプンが人の味覚に反応しやすいブドウ糖になることで、甘く美味しくなるので、米麹の甘酒に加えるご飯は、そのまま味に直結。
甘味を増やす、という点では酒粕と同じように「かさ増し」の意味合いもありますが、ご飯をいきなり加えずに作ると、味ががらりと変わる可能性があります。
甘酒を手作りしていて、その味が気に入っているのであればご飯と米麹の割合を変えない方が無難です。
どうしてもご飯のツブツブが気になるなら、ミキサーにかけるなどして滑らかにすれば食感も気にならなくなります。
ご飯を入れないと甘くならないの?
米麹の甘酒の甘さはお米由来のさっぱりとした優しい味が魅力。
いつまでも歯にくっついているような感覚が残る砂糖には出せない味わいです。
しかし、麹菌がお米のデンプンを分解して甘味を引き出すには時間をかけてじっくり発酵させる必要があり、市販では生産性の問題で難しいのが現状。
効率化のために、米麹から作った甘酒でも砂糖で調味されている製品が少なくないので、お米のデンプンをじっくり糖化させられるのは、自家製ならではの贅沢とも言えます。
とは言え、レシピによっては、お米を加えたレシピでは発酵が8~10時間と半日近くになることもザラ。
お粥を炊く時間、冷ます時間を含めるとタイミングに配慮する必要があり、それほど気軽にはできません。
米麹の甘酒の作り方イロイロ
米麹の甘酒には基本的な作り方がある程度決まっていますが、一方でインターネット上では材料の比率を変えたり、お米を残りご飯にしたり、様々なレシピを見かけます。
それほど厳密にしなくても美味しい甘酒はできあがるのです。
お米は必須?
甘酒の甘さはお米のデンプンを分解して作られますが、だからと言って必ずご飯が必須なわけではありません。
なぜなら、米麹とは、もともとお米が麹菌に醸されたものなので、米麹を加えた段階で既に甘味に必要なデンプンは補給されています。
米麹と適温のお湯で作る「早作り」と呼ばれる甘酒の製法で親しまれています。
甘酒に加えるご飯は麹菌が早く分解できるように、あらかじめお粥状態に柔らかく炊きますが、それでも発酵時間の短縮は難しいです。
米麹とお湯の極限にシンプルな材料で発酵させれば、麹菌が分解するデンプンの量も減ります。
もちろん、その分できあがる甘酒の量は減りますが、ご飯を加えてもしっかり糖化させられなければ甘味を引き出せず、美味しく飲めず本末転倒です。
作る量を調整することで、お米を加えなくても濃厚な甘さの美味しい甘酒に仕上がります。
お米の種類を変えても
お米のデンプンが甘酒の甘さの源になるのですから、ご飯が必須なわけではありません。
上で触れたように、少ない発酵時間でしっかり甘味を引き出すためには、敢えてご飯を加えない作り方も有効です。
お米の種類や米麹との割合を変えると、発酵時間だけでなく、効果や味を変化させることもできます。
もち米
甘酒の甘味をもっと強くしたいなら、一般的な白米よりももち米の方がいいです。
と言うのも、もち米に含まれているデンプンは、白米のものよりも多くのブドウ糖を蓄えている種類だからです。
ブドウ糖が多ければ多いほど、甘酒になったときに舌で感じる甘味が強くなります。
白米で作った甘酒が物足りない場合は、もち米で作ってみるのがオススメ。
口コミでは、加えた量が同じでも2割ほど甘味が強くなったとの話も見かけました。
通常のご飯とも、1kgあたりの価格がほとんど変わらないのも魅力です。
玄米
甘酒の高い栄養価を更にパワーアップさせたいときには、白米よりも玄米が適任です。
玄米は、糠と呼ばれる白米の表面の薄い膜を取り除く前のお米です。
フルーツで例えるなら、皮がついたままの状態と言ったところでしょうか。
フルーツでも野菜でも、中身よりも皮の部分に栄養が含まれていますよね。
ミカンでもソラマメでも、皮のまま食べることを推奨されていますが、いつまでも口に残る繊維質を嫌う人も少なくありません。
白米も同様で、栄養を犠牲にして美味しく食べやすくしたのが白いご飯なのです。
実際、玄米は
- ビタミン
- 食物繊維
- ミネラル
どれを取っても白米に含まれるものよりも多く、豊富にバランスよく含まれる栄養から、完全栄養食品とも呼ばれています。
玄米が加わることで、甘酒の栄養バランスも更に整えられます。
栄養補給が目的で甘酒を飲む人にはぴったりの組み合わせだと言えるでしょう。
しかし、玄米の糠の臭いやプチプチとした食感は人を選びます。
白米の美味しさになれている、現代人には辛いかもしれません。
その場合は、他の飲み物で割って、甘酒の玄米風味を弱めましょう。
もともと甘酒の味と相性の良い牛乳や豆乳割りが簡単にできてオススメ。
特に牛乳割りは甘酒では補えないカルシウム補給にもなり、一石二鳥です。
まとめ
いかがでしたか?
甘酒ではご飯は必ずいるものではありませんが、満足感がアップしたり、ツブツブした食感も楽しめます。
ご飯がなければ噛む動作もいらなくなった、お茶のようにごくごく飲めるようになりますが、甘酒らしさがないような気がして寂しいですよね。
もちろん、ご飯のツブツブが苦手な人もいますから、無理に入れる必要もありませんが、加える種類によって甘酒の味や栄養をパワーアップさせられます。
好みに合わせて入れるか入れないかも含めて甘酒に加えるご飯を考え直してみてはいかがでしょうか。
以上、「甘酒にご飯を入れる理由は?もち米や玄米の効果とは」でした。