麹の甘酒は熱湯で作ったらどうなる?注意点も
このページでは、米麹甘酒に熱湯で薄めるのは良いのかどうかを紹介しています。
ブームがきっかけに、様々な甘酒商品も見かけます。
薄めるタイプの甘酒を用意して、好みのアレンジを楽しめるこだわり派もいるほど。
薄めるタイプの甘酒は、割るものを変えることで、甘酒の味ががらりと変えられます。
とは言え、やはり濃縮甘酒の定番はシンプルなお湯割り。
シンプルなお湯割りは体の中からポカポカと温まるだけでなく、甘酒本来の美味しさをダイレクトに味わえます。
しかし、甘酒に含まれる栄養の中には、熱に弱いものも多いと耳にします。
栄養を補うために飲むのに、熱湯で破壊されては意味ありません。
美味しさと栄養とを両立させるためには、どんな風に割れば良いのでしょうか。
栄養を壊さずに、温かい甘酒を楽しめるように、割り方のポイントをまとめました。
濃縮タイプの甘酒って?
最近のブームでペットボトル商品も見かけるようになり、手軽さからストレートタイプも増えています。
しかし、赤い缶でお馴染みの森永の甘酒も、もともとお湯で溶かすフリーザータイプは通年販売されていましたし、店頭で購入できる濃縮タイプも根強い人気。
手作り甘酒も、お湯で薄める早作りと固作りの2種類の作り方があります。
保管中は少ない水分でコンパクトにしておいて、飲みたいときに好きなように割れるのは魅力的。
また、最近注目され始めた米麹甘酒は、濃厚な甘味が特徴。
ノンシュガーが嬉しい反面、甘味が強すぎて苦手意識を持つ人も多いです。
好みで味の濃い薄いが自由自在なので、少しずつ甘酒に慣れていきたい、という人にもぴったりです。
甘酒を熱湯で薄めて良いの?
長年、私たちは温かい飲み物として慣れ親しんでいます。
特に女性は、冷えに弱い人も多いので、体を冷やさないためにも、季節問わずある程度温かくして飲みたくなります。
熱湯で薄めてアツアツの甘酒をゆっくり飲む……想像しただけでほっこりしそうです。
しかし、甘酒に含まれる栄養の中には熱に弱い物も多いです。
熱湯を加えれば甘酒が煮立ってしまいますから、せっかくの栄養が減ってしまうかもしれません。
甘酒の麹は40℃で破壊される?
米麹の甘酒は、コウジカビがお米を糖化させる働きを利用させて作られます。
このとき、効果的に発酵を進められるよう、だいたい55℃~60℃の温度を維持、と記載されているレシピが多いです。
しかし、実際のところコウジカビは40℃で死滅します。
60℃程度で発酵させた段階で、甘酒のコウジカビは既に死んでしまうわけですから、私たちの口に入る時点も同様です。
60℃で発酵されている間、コウジカビは胞子の状態で休眠し、適切な環境に置かれるまで待機しています。
生きたまま口にできる状態とは言い難いです。
熱湯で破壊されるのは酵素!
発酵に適しているされる55~60℃は、コウジカビにとっては高温過ぎて、活動できません。
それなのに、実際はお米は糖化されて、砂糖が入っていなくても甘く飲めるようになっているのは、コウジカビが生成した酵素のおかげ。
酵素の1種のアミラーゼと呼ばれるタンパク質が、お米のデンプンから甘味を引き出します。
アミラーゼに限らず、酵素の基であるタンパク質も高温では破壊されます。
コウジカビほど極端ではないものの、それでも70℃を超えると失活のライン。
せっかくなら、酵素も生きたままの状態で体に入れたいですよね。
酵素は、低温よりも高温の方が活動が活発になり、お米の糖化が早まりますが、高すぎれば破壊され、冷やしたとしても再生しません。
55~60℃は酵素にダメージを与えず、効率良い甘酒作りに適した温度と言うわけです。 >>甘酒の栄養や酵素を破壊しない電子レンジの温め方
60℃くらいのお湯で割ろう
発酵の段階で既にコウジカビは死滅していますから、飲むときに温度を合わせても既に手遅れ。
酵素だけでも生きたまま口にしたいですよね。
酵素の適温は60℃以下。
温かくして飲みたい場合でも、ぐらぐらと煮立つくらいの熱湯を加えては、甘酒の温度が急上昇し、酵素が破壊されてしまいます。
お好みの甘酒に、60℃以下のぬるま湯を加えて割るのが基本です。
甘酒は通常冷蔵庫で保管されていますから、良く冷えています。
味を多調整するときに多少温度が下がるとしても、70℃を限度にすると良いでしょう。
アツアツと言うわけには行きませんが、ほんのりとした温かさは、甘酒の甘味を強調します。
ゆっくりと味わいを楽しむうちに、じわじわ体の中から温まってくるので、ぬる過ぎて温まらないのでは?と心配することはありません。
市販の甘酒は既に熱処理されている
店頭に並び私たちの手元に届く甘酒は、いくつもの厳しい基準をクリアしています。
市販の甘酒は、製造ラインを流れ終わった後、配送業者を経ます。
店頭に陳列され、私たちの手元に届くまで何日もかかる上、それぞれの条件の違うご家庭でも、定められた賞味期限の間は美味しく飲めなければなりません。
さらに、甘酒はもともと微量のアルコールが含まれていますが、清涼飲料で販売するためには、事前にお酒を抜く必要があります。
市販の甘酒は、いくつもの厳しい条件をクリアするため、ほとんどの商品が火入れをほどこされています。
火入れとは、要するに熱処理のこと。
高温で熱することで、殺菌処理やアルコールを取り除いて、長期保存にも耐えられるようになっています。
火入れは、私たちが安心できる甘酒を購入するために必要なこと。
市販品にはある意味、欠かせない工程ですが、高温処理されることで、コウジカビのみならず酵素やその他の熱に弱い栄養は失われてしまいます。
甘酒のパワーを極限まで取り入れるためには、火入れが不要の鮮度が良い状態で口にできる手作りがベストです。
ただ、市販品は栄養では手作りよりも若干劣りますが、保存に優れているため、手軽さでは優れています。
麹やアルコールの風味が飛ばされているため、火入れしたものの方が美味しく感じる人もいます。
冷蔵庫保存でも何ヶ月も持ちますから、品質の劣化もそれほど気にする必要はありません。
それに、既に火入れで熱に弱い酵素や栄養が破壊されています。
60℃を守っても栄養面で変化しないので、喉にガツンと来るアツアツの甘酒も気兼ねなく楽しめます。
難しいことを考えず、気が向いたときにちびちび楽しみたいライトユーザーにぴったりです。
まとめ
いかがでしたか?
米麹甘酒の栄養を余すところなく取り込みたいなら、飲むときも60℃程度のぬるめがベスト。
熱湯に溶かしてアツアツにしては、せっかくの栄養が破壊されてしまいます。
米麹から用意するこだわり派は、ぬるめにして味を楽しむように飲むと、酵素や栄養が破壊されず、効果的に摂取できます。
好みの濃さに調整して、おやつの時間や、眠る前など、ゆっくりできる贅沢な時間にぴったりのの飲み方ですね。
甘酒は毎日続けて体に効果が表れるようになりますから、気分でアレンジして味が変えられるのは、マンネリを防ぐ意味合いにも有効。
毎日美味しく飲めるので、飽きが来ることなく続けられます。
温い飲み物が苦手な人は、思い切って他の食品や飲み物を加えて、冷たいドリンクにしてもオススメです。
以上、「麹の甘酒は熱湯で作ったらどうなる?」でした。